メル友からの出会い

私16歳のごくごく普通の女子高生、美穂。ただ女子校に通ってるっていうだけ。

お母さんの希望で、今までもずっと、女子校生活を続けてきたからか、彼氏は今までに一人もいない。

中学時代と変わらず、女子だけの世界に浸っているのが、なんだかのんびりできて、落ち着けるから好き。

男子に気を使うことなく、女子だけの秘密の会話だってできちゃうし。

前までは、テニス部でバシバシ毎日、放課後に1日5時間は、当たり前のように部活動に、励んでいたんだけど、つい最近やめた。

っていうのは、最近絡む友達が変わってきたからだと思う。

前までは、昼休みの間でも「ロシア人のシャラポワ選手がすごい!」
とか、「あのナイキのユニフォームかっこいい!!」
とか、スポーツの話題ばかりをする友達と、集まっていたんだけど、ある日を境に私のテニス生活は、終止符をうつことになった。

それは一ヶ月前のこと。

昼休みにいつもどおり、テニス仲間と話をしていると、隣のクラスから遊び人で有名な理沙がきた。

教室に入ってきて、どこに向うのかと思いきや、私の方に向ってくる。

テニス仲間は何事かと、私と理沙を交互に見ている。

いや、私自身なんで理沙が、私の目の前にたっているのか分からない。

今まで正直、なんの接点もなかったから。

理沙は口を開いた。

「あのさっ、美穂さ、今彼氏いんの?」

「いないけど・・・それがどうしたの?」

「あ、そっか、美穂はテニスで忙しいから彼氏いないか。
っで、そこで提案があるんやけど、私の彼氏の友達に会ってみいひん?
私の彼氏は男子校で、バレーボールで有名な学校なんやけど、彼氏の友達が誰か紹介してほしいって、言うてるねんやん。
それで誰か可愛いコいないかなぁって考えててん。そしてらちょど美穂を思いだしたってわけ。」

「あ~そうなんだ。
でも私、男子に興味ないし・・・。
テニスでそんな暇ないし・・・。」

「そんなこと言ってるから、いつまでも彼氏できひんねん!華の高校生活を無駄にする気?
もし、この話にのってくれたら、美穂の大好きな祇園辻利の抹茶パフェおごるからさ、お願い!」
ってことで、最後の「祇園辻利の抹茶パフェ」に惹かれて、承諾した。

でも紹介って、いったいなに?っていうか、どうやって知り合うわけ?そう思ってると、数時間後に理沙からメールがあった。

「このメールアドレスが彼氏の友達のんやから、ここにメール送ってあげて。
名前とか、簡単な自己紹介書いて送るんやで!」

って書いてあった。
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簡単な自己紹介っていっても、会ったこと無い人に、そんなプライベートなこと、教えたくないなぁと思いつつも、

抹茶パフェがかかっているので、仕方無しにメールを作成した。

「まっ、こんな感じでいいのかな。」

「はじめまして美穂です。理沙から紹介(?)されました。テニス部に入っています。よろしくお願いします。」
若干、丁寧すぎるのかなとも思ったけど、どうしていいかわからないから、そのまま送信した。

すると、すぐに返信があった。

「俺、大介。理沙の彼氏の友達。そいつとは部活仲間。聞いてると思うけど、俺、バレー部。
あ、バレーって言っても、あのピョコピョコ踊るほうちゃうで!ボール使うほうな!笑
テニスやってるんや?テニスかっこいいやん!
でも筋肉マッチョより女の子らしいほうが好きやけど。まぁ、こちらこそ、よろしく。」
なんだか、この大介って人、女慣れしてそうだなぁと感じるメールの書き方だった。

返信どうしようかと考えていると、大介からメールがまた来た。

「なぁなぁ!写メ交換しようや!お互いの写真を交換するねん。ちなみに俺はもう送信したから、美穂も送ってな。」

と写真のファイルが添付されていた。自分から自分の写真を送ってくるとは、かなり自信あるんだなぁと思いつつ、

ファイルを開けてみた。(・・・・・・・。ううっ、かっこいい。)

確かにその写真にうつっている大介はかっこいい。

これなら何も考えずに、誰にでも見せられる顔だなぁと思った。

私は容姿はきれいなほうだった。でも何が嫌って・・・自分の写真を撮るのが大嫌いだった。

自分の写真撮るなんて、モデル気分じゃないの?!って、なんだか恥ずかしくなるから好きじゃない。

でも、大介はもう送ってきたから、私は言い逃れできるわけもなく、仕方無しに理沙に写真を撮ってもらって送ることになった。

自分の写真を送ってから、しばらく時間がたった。

あまりにもその時間が長く感じられて、もしかして私の写真、何かまずかったかな?あ、もしかすると、男子校だからクラスメイトに見せびらかせて、

ギャアギャア言ってるんじゃないの?と勝手に色々な想像をめぐらせてた。

そうすると、メールの着信音がなった。

「かわいい~~~!!!テニスしてんのに、キレイな肌してんね!!!ね!今度遊ぼうよ!いつ空いてる?」

「かわいい~~~!!!」

って・・・何???そんなこと男子に言われたの初めてなんだけど、

っていうか、男子と出会う機会なんて今までなかったし。

あまりにもなんだか恥ずかしくて、

「テニスやってて、時間ない。ごめん。」

とだけ返信した。

それから大介からは返信がなかった。そりゃ、そうだよね。

まぁ、いいや、テニスで忙しいのは本当なんだし。

次の日、理沙がまた私の教室にきた。

あいかわらず、私のクラスメイトは理沙を見てる。

まぁ、確かに理沙はメイクしてて、派手だし、目立つからね。

私のクラスはアドバンストクラスっていう学年高成績をもった生徒たちの集まりで、化粧気なんて全くなかった。

「美穂~~~!なんで、時間ないとか言ったの?!もしかして美穂が大介の写真が気に入らなくて、断られたのかとかなり落ち込んでるらしいよ?
かわいそうじゃん!!!っで、実際のとこ大介どうだった?かっこいい?タイプ?」

そう理沙に聞かれて、大介の写真を見せた。

「キャ~~~!!!超かっこいいじゃん!!!なんで断ったの??!!!もったいない!!!!
大介、昨日電話してきて、美穂のこと可愛い、会ってみたいって話してたのに。」
なんで?っていう問いに正直に

「恥ずかしかったから。というか、照れたの!!!」
って理沙に言うと、

「ぷっ・・・・あんた美穂って、おもしろい!!!ってか、恥ずかしかったから。
って可愛すぎるやん!!!じゃあ、私から大介に伝えといてあげるから、
あとはちゃんと大介と話してみな。大介、良い人やから。」

その夜、大介から電話があった。

「美穂ちゃん、心配したやん。
俺のこと、嫌いになったかと思ったわ。
時間ないとか言われたん初めてやったから、びっくりしたし!じゃあさ、早速やけど、今週末会おうや!」

ってことで、かなり私の中では早い展開で、大介と会うことになった。

でも私には問題があった。今までスポーツ一本で頑張ってきた私にお洒落のかけらもなかったからだ。

ここは理沙に頼むしかない!早速、理沙に電話した。

「理沙!さっき大介から電話あってね、今週末に会うことになったの。
それで、化粧とかどうしたらいいのかわかんないから教えて!!!あと服もどんなの着ればいいわけ?」

「まぁまぁ、美穂、落ち着きなって。とりあえず明日、私とショッピングに行こう!
それで美穂に似合う服選んであげるから。」

ということで早速、翌日からお洒落になるための特訓(?)が始まった。

理沙に連れていかれるがままにショッピングセンターに向う。

今まで見たこともない、ヒールのあるキレイな靴、可愛いワンピース、おしゃれな鞄が勢ぞろい。

商品があまりにも多すぎて、ちゃんと決めれるのか心配していると理沙が私の前に数着キレイ目な服を持ってきて、

「ハイ!これ試着してきな!着たら、一回ずつちゃんと私に見せて。」

といわれるがままに、試着室へ。こんな小さいサイズ、私なんかが着れるのかな・・・

しかもこんな高いヒール、歩いてこけたりしないの?全てが私にとって新しく戸惑っていると理沙が

「早く!次も違うとこ行かなきゃいけないんだから、さっさと着る!」

と罵声が飛び、着換えて理沙に見せると、

「あ!!!やっぱり美穂は可愛い系より、キレイ系が似合うな!いいやん!このワンピース似合ってる!」

と言われ、嬉しくなり、そのままお買い上げ。

可愛い系、キレイ系とか、さっぱりよくわからなかったけど、気にせず次のところにいくことにした。

今日はたくさん買い物したなぁと考えていると、理沙が

「今から美穂の家行っていい?メイク教えてあげる!」

ということで、理沙を連れて家に帰ることにした。

お母さんたちは理沙を見て、ビックリした顔をしていた。

そして私に小声で

「いつの間に、そんな可愛い友達できたの?!」

と言われ、私が驚いた。
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メイクしている友達を連れていくと若干、引かれるかと思ったけど、逆効果だったみたい。

どうやって、ファンデーションをつけるとか、どんな目の形にしたいとか、

そのためには、どうやってアイラインを引くとか、丁寧に説明してくれた。

「あとは髪どうにかしな!」

って言われ、次の日には美容院に行き、初めて髪を染めることにした。

淡い栗色の髪色にした。結局、大介に会う前日まで、理沙は私に付きっ切りで面倒をみてくれた。

大介と会う当日。慣れないヒールにキレイな薄水色のワンピース。

今までなかった外国人かのようなブラウンの髪。

ビルの窓に写る自分の全く違う姿を見て、(これ、完全、別人だよね。メイクって、詐欺だよ!詐欺!)と心の中で叫んでいた。

そうしているうちに、ひとりの男子が「あの~美穂ちゃん?俺、大介!」
と声をかけてきた。

あまりにも急すぎて、声がうわずりそうになった。

「あっ、ああっ!大介くん!!!
今ね、ビルの窓を見ていたのはね、なんの会社かなぁって気になって、中をのぞいてたの!!」

「あははっ!!美穂ちゃん、かわいい。」

初めて生の声で可愛いって聞けて、顔が真っ赤に火照るのを感じた。

それから二人でカフェに行って、カラオケに行った。

大介は本当に歌を歌うのがうまかった。

私はよく音はずすし、全然だめ。どちらかというと、誰かが歌って、その隣でタンバリンをたたいている方が性に合ってる気がする。

大介は思っていたより、気を遣える人で、しかもかなり優しい。

写真のとおり、かなりの男前。

でもそこでふと、疑問に思ったことがあった。

(なんでこの人に彼女がいないんだろう・・・?)

普通なら、こんなにルックスの良くて、気遣いのできる人なら、彼女がいたっておかしくないのに、

なんでわざわざ友達に頼んでまで、出会いを探しているんだろう。そう思っていると大介が話しかけてきた。

「今、何か考えてるでしょ?美穂ちゃんが何考えてるかあててみようか?どうして俺が彼女いないか?じゃない?」
本当にびっくりした。

この鋭い感覚はなんなんだろう。私が焦っていると、

「それは、俺が男子校に通ってるから。
美穂ちゃんと同じ理由やと思うで?」

って言って笑ってた。

外見がかなり良いのに気取ることなく、に普通に会話ができることになんだか親近感がわいた。

その日から、私たちは毎日のように連絡を取り合うようになって、毎週末会うようになった。

それと同時にお洒落、ファッションを気にするようになって、どちらかというとテニスはどうでもよくなって、そのまま部活をやめることにした。

「筋肉マッチョより、女の子らしいほうが好き。」

という大介の言葉も気にしてたから。

映画に行ったり、公園に行ったり、お弁当を作って大介のバレーボールの応援に行ったりした。

ある日のバレーボール大会の試合の日に大介のチームが優勝した。

もとから大介の高校は春高バレーでも名が知れている学校だったから予測はできていたものの、

実際に優勝すると私までテンションがあがってしまうものだと思った。

大介が急に司会者の所へ行き、マイクを借りてなにかをしようとしている。
「あ。あ。
マイクテストマイクテスト
え~と、とりあえず、俺らのチームが優勝したことを喜ばしく思う。
俺と今まで頑張ってきたチームメンバーは俺の大事な仲間や。お前らを誇りに思ってる。
あと俺にもう一人大事な人がいる。美穂。今日、俺の試合に見に来てくれてる女の子。ここで気持ちを伝えたいと思う。
美穂、俺は美穂のことが大好きです!俺と付き合ってくれませんか?」

大介のチームメイトは、元からこの計画を知っていたのか、あまり驚いている様子はなかったけど、私は完全に腰抜け状態。

人前で何を言ってるんだろ、大介は・・・と恥ずかしいという気持ちと、本当に嬉しいという気持ちの、両方がこみあげてきた。

もちろん私の返事は

「はい。」

だった。

こうして今まで16年間の彼氏いない歴に終止符をうつことができた。大介と私はそれから8年間交際を続けた。

当時、大介に会ったときには、一時の男友達で終わるんだろうと思っていたのが、

ここまで長い間人生を共にする、パートナーになるとは想像もつかなかった。

でも大介は

「美穂を初めて見たときから、俺は美穂と結婚すると思ってた。」

なんてカッコイイことを言うけれど、実際に私たちは晴れて、夫婦になることができた。

もちろん付き合ってる中で、口喧嘩をすることはたまにあったけども、私たち二人とも絶対にしなかったことがある。

何があっても「別れる。」と口にださないことだった。

高校時代の友達のカップルの話を聞いているとよく、毎日のように

「今日ね、彼氏と喧嘩して、もう頭きちゃって、別れるって言ってやったの!そしたら本当に別れちゃった!」

といって大泣きしている女の子をよく見かけたことがあった。でもなぜか私には、そういったことがなかった。

喧嘩したときは、確かに険悪なムードになったりはするけど、決して私たちは逃げなかった。

言い争っても素直にお互いの意見をぶつけ合うことにした。だから、相手にいつでも正直になることができた。

その結果、私たちは一度も別れることなく、二人で道を築けたんだと思う。

恋愛をするにあたって、うまくいく方法というか、定理みたいなものがあるんだと思う。

「妬かない。」
「自己中心にならない。」
「相手に気を遣うこと。」
「素直であること。」

この4点だと思う。

大介に出会うまでは、恋愛の「れ」
の文字も、意味を知らなかった私が、大介に出会い、知っていくことで、色々な意味で成長できた。

恋愛とは、まさに人生に欠かせない、要素の一つなんだと悟った私だった。